四十肩・五十肩の痛みを軽減する寝る前の5つのテクニック!
四十肩・五十肩とは?
四十肩・五十肩とは具体的な年齢とは関係なく、中高年を中心に発症する肩の痛みや動きの制限を伴う疾患を指す言葉です。
一般的には40代や50代の方々に多く見られることから、このような名称がつけられました。
これらの疾患は、長期にわたる使用や年齢に伴う変化、怪我や筋肉の過度な使いすぎなどが原因となり、肩の筋肉や腱・関節包に炎症を引き起こします。
原因と主な症状
原因
四十肩・五十肩の正確な原因は明確には分かっていませんが、筋肉の過度な使いすぎや怪我、加齢による肩周囲の組織の劣化、炎症などが関連しているとされています。
主な症状
この疾患の典型的な症状は、肩の痛みや肩の動きの制限です。
痛みは、肩を動かすときだけでなく、夜間や休息時にも感じることがあります。
さらに、肩の周りの筋肉が硬くなったり、腫れたりすることもあります。
四十肩・五十肩は、その進行によって3つのフェーズに分けられます。
まず、痛みが増加する「炎症期」、次に、痛みが続き関節の動きが制限される「凝固期」、最後に徐々に症状が和らぎ、肩の動きが改善する「回復期」があります。
これらの期間は個人差があり、数ヶ月から数年かけて進行することが一般的です。
睡眠時の痛みの原因となる要因
四十肩・五十肩を患っている方の中には、夜間や就寝時に特に痛みを感じる方も少なくありません。
これは、横になった時に肩の周囲の組織が圧迫されるため、または、一日の活動による筋肉の疲れや炎症が高まる夜間に痛みが増すためだとされています。
特に、不適切な寝姿勢や枕の高さなどが、これらの痛みを悪化させることが知られています。
このような背景を持つ四十肩・五十肩は、多くの人々が日常生活の中で直面する疾患となっています。
しかし、適切なケアや対策を取ることで、症状の軽減や生活の質の向上が期待されます。
この記事では、特に寝る前のテクニックを中心に、四十肩・五十肩の痛みを軽減する方法について詳しく解説していきます。
【テクニック1】適切な枕を選ぶ
肩の痛みを和らげるための最初のステップは、良質な睡眠を確保することです。
そのためには、適切な枕の選択が不可欠となります。
枕の高さや硬さ・材質は、首や肩への負担や全体的な睡眠の質に大きく影響します。
枕の高さと硬さがもたらす影響
高さ
枕が高すぎると首が自然な位置から上に持ち上げられ、筋肉に過度な緊張を引き起こします。
逆に低すぎる枕では首の下の空間が空いてしまい、首や肩に不必要な負担がかかります。
最適な枕の高さは、横になった時に頭と脊椎が一直線になる程度です。
硬さ
枕の硬さもまた、首や肩への影響を持ちます。
硬すぎる枕は頭を適切にサポートできず柔らかすぎる枕は頭が沈み込んでしまい、首にストレスを与えます。
適切な硬さの枕は頭と首を適切にサポートし、頭が中心に来るように調整されていることが理想的です。
おすすめの枕のタイプとその選び方
形状記憶フォーム
頭と首の形にフィットすることで、均等にサポートしてくれます。四十肩・五十肩の方には特におすすめです。
羽毛やダウン
軽くて柔らかい特性がありますが、サポート力は少ないので、その他のクッション材と組み合わせると良いでしょう。
低反発タイプ
体の圧力を分散させる能力があり、首や肩への負担を減少させます。
枕を選ぶ際のポイントは、自分の寝姿勢や身体の形、好みを考慮することです。
また、購入前に実際に店舗で試し、自分の体に合ったものを見つけることが大切です。
四十肩・五十肩の症状を和らげるためには、適切なサポートを提供する枕の選択が鍵となります。
自分の体や好みに合った枕を選ぶことで、睡眠の質を高めるとともに痛みや不快感を軽減することが期待できます。
【テクニック2】肩のストレッチ
四十肩・五十肩の症状の中でも、特に朝起きたときのこわばりや痛みは、多くの方が経験する厄介なものです。
これらの症状は、長時間同じ姿勢で寝ていることや、肩周りの筋肉や靭帯が硬くなることが原因となります。
そこで、寝る前の肩のストレッチングが非常に効果的です。
なぜストレッチングが効果的なのか
筋肉の柔軟性を向上
長時間同じ姿勢でいることで硬くなった筋肉をほぐし、柔軟性を回復させます。
血流の促進
ストレッチにより血流が向上し、筋肉や靭帯に酸素や栄養素がしっかり供給されます。
これにより、筋肉の回復が促されるとともに痛みやこわばりを予防します。
リラックス効果
ストレッチは、筋肉だけでなく心もリラックスさせる効果があります。
リラックスした状態での睡眠は、深い眠りをもたらし体の回復を促します。
寝る前のおすすめストレッチ方法
肩甲骨のストレッチ
腕を前方に伸ばし、肩甲骨が離れるように両手を組んで伸ばします。
15秒程度キープして、ゆっくり戻します。
腕ストレッチ
一方の腕を胸の前で横に伸ばし、もう一方の腕で引っ張ります。
左右それぞれ15秒程度キープします。
首ストレッチ
頭をゆっくりと左右に倒し、首のサイドを伸ばします。
各方向に15秒ずつキープします。
四十肩・五十肩の症状を和らげるための寝る前のストレッチは、日常的に取り入れることで効果を実感することができます。
筋肉の柔軟性の向上や血流の促進・リラックス効果など、多方面でのメリットが期待できるため毎晩のルーチンとして実践してみてください。
【テクニック3】温熱・冷却療法
四十肩・五十肩の痛みや炎症を緩和するための古典的な方法として、温熱療法と冷却療法があります。
それぞれの方法が持つ効果や、それを最大限に引き出すための正しい使い方について解説します。
温熱療法の効果とそのメリット
温熱療法は、痛みの原因となる筋肉のこわばりや緊張を和らげる効果があります。
筋肉のリラックス
体を温めることで筋肉がリラックスし、こわばりや緊張が解消されます。
血流の促進
体温が上昇することで血流が良くなり、筋肉や関節に酸素や栄養を供給することができます。
痛みの緩和
体の温かさにより、痛みを感じる神経の感受性が低下します。
冷却療法の効果とそのメリット
冷却療法は、主に炎症や腫れの緩和に効果的です。
炎症の抑制
冷たさによって血管が収縮し、炎症を起こす物質の流入が抑えられます。
痛みの緩和
冷たさにより、痛みを感じる神経の活動が鈍化します。
腫れの減少
血管の収縮により組織への液体の流入が減少し、腫れを緩和します。
温熱・冷却療法の適切な使い方
怪我や痛みの直後
初めの24〜48時間は冷却療法を用いるのがおすすめ。
怪我直後の炎症や腫れを抑えることができます。
長引くこわばりや緊張
温熱療法を用いることで、筋肉を温めてリラックスさせる効果が得られます。
注意点
どちらの療法も直接皮膚に当てることは避け、タオルなどの布を挟むことで低温や高温によるやけどを予防します。
温熱療法と冷却療法はそれぞれ異なる効果がありますが、四十肩・五十肩の症状の緩和に有効です。
痛みや炎症の状態・発生時期に応じて適切に選択し正しい使い方をすることで、その効果を最大限に引き出すことができます。
【テクニック4】リラックスを促す環境を整える
四十肩・五十肩の痛みは、筋肉や関節の緊張が原因で引き起こされることが多いです。
心地よい環境を整えてリラックスすることで、体の緊張を和らげ痛みを軽減することが期待できます。
リラックス効果のある照明
暖色系の照明
オレンジや黄色ベースの暖色系の照明は、心を落ち着かせる効果があります。
特に就寝前は青白い光を避け、暖色系のライトを選ぶことで質の良い睡眠をサポートします。
調光機能付きのライト
明るさを調整できるライトを使用し、リラックスしたいときは暗めに設定することで心身ともにリラックスする助けとなります。
快適な寝具を選ぶ
マットレスの硬さ
身体の線をしっかりサポートする適度な硬さのマットレスを選ぶことで、筋肉や関節の緊張を緩和します。
通気性の良いシーツ
汗をかきやすい人や夏場には通気性の良いシーツや寝具を選ぶことで、快適に休息をとることができます。
心地よい香りを活用する
アロマセラピー
ラベンダーやカモミールなどのリラックス効果のあるエッセンシャルオイルをディフューザーやアロマランプで使用すると、心身をリラックスさせる助けとなります。
ボディローションやクリーム
睡眠前にリラックス効果のある香りのボディクリームやローションを塗布することで、心地よい香りとともに筋肉のリラックスを促進します。
リラックスを促す環境は、心身の緊張を和らげるだけでなく痛みの軽減にも繋がります。
照明や寝具・香りなどの要素を工夫して、日常の中で自身にとっての最も快適な環境を整えることで、四十肩・五十肩の症状の改善をサポートします。
【テクニック5】適切な寝姿勢の取得
四十肩・五十肩の症状を持つ人々は、不適切な寝姿勢が痛みの原因や悪化を引き起こすことがしばしばあります。
適切な寝姿勢を取ることで、肩や背中の筋肉・関節に過度なストレスをかけることなく、安定した睡眠をサポートして症状の緩和を促します。
背中を直線に
中央部をサポート
腰や背中の中央部分にクッションやタオルを巻いて挟むことで、背骨が自然なカーブを保つのを助けます。
腰の下に薄いクッション
寝返りが取りやすく、背中を自然なポジションに保ちます。
肩の下に枕を置く
肩の下に適切な高さの枕を置くことで首と肩にかかるプレッシャーを軽減し、肩のリラックスをサポートします。
腕の位置
腕を体の横に
上向きに寝る際、腕を体の横に置くことで、肩の筋肉にプレッシャーをかけるのを避けます。
腕を頭の上に避ける
腕を頭の上に置くことは、肩や首に余計なストレスをかける可能性があるため避けましょう。
足のポジション
膝の間にクッションや枕を置くことで、腰にかかるストレッシュを軽減し背骨の自然なアライメントをサポートします。
体の向き
右向き
心臓が左側にあるため、右側を下にして寝ることで心臓にかかるプレッシャーを軽減します。
ただし、人によっては左側を向いて寝る方が快適な場合もあるので、自分の体に合わせて調整しましょう。
四十肩・五十肩の痛みを和らげるためには、適切な寝姿勢の取得が不可欠です。
特に、長時間の睡眠時には少しの姿勢のズレが大きな違いを生むことがあります。
肩や背中の筋肉や関節を守るために適切なサポートとアライメントを確保することで、症状の軽減と快適な睡眠を手に入れることができます。
最後に
いかがでしたか?
四十肩・五十肩は多くの人々が経験する症状で、日常生活や質の良い睡眠を大きく阻害することがあります。
この症状を克服する上で、日常的な生活習慣の中で特に重要なのが「寝る前の準備」や「寝姿勢」です。
本記事では、四十肩・五十肩の痛みを軽減するための5つのテクニックを紹介しました。
適切な枕を選ぶ
首や肩に適切なサポートを提供することで、筋肉の緊張を和らげ、リラックスした睡眠を促します。
肩のストレッチ
日常的に行うことで筋肉の柔軟性を保ち、痛みやこわばりを軽減します。
温熱・冷却療法
痛みや炎症の程度に応じて適切な温度を選び、痛みの緩和を促します。
リラックスを促す環境を整える
心地良い寝室の環境は質の良い睡眠をサポートし、筋肉や関節のリカバリーを助けます。
適切な寝姿勢の取得
肩や背中の筋肉に負担をかけないように、体のアライメントを保つことが重要です。
上記を組み合わせることで四十肩・五十肩の痛みを大幅に軽減し、より質の良い睡眠と日常生活を取り戻すことができます。
それぞれのテクニックは個人の体調やライフスタイルに合わせて調整することが重要です。
痛みの原因や程度・生活環境などを考慮しながら、自分に最も適した方法を見つけ継続的に実践することが大切になります。
今回の記事が、少しでも役に立てたのであれば幸いです。
この記事を書いた人
山田 和也
1974年5月30日生まれ。北九州市小倉南区出身。
【保有資格】
柔道整復師(国家資格)
【経歴】
山口県下関市の整骨院で院長として4年勤務後、地元である北九州市小倉南区で整体院を開業する。臨床経験13年・延べ31300人の施術を行う。(令和4年5月現在)