【股関節の痛み対策】立ち仕事の人必見!股関節を疲れにくくする工夫

立ち仕事と股関節の痛みはなぜ起こる?
長時間立ちっぱなしの仕事をしていると、「股関節の奥が重だるい」「動き始めに痛みを感じる」といった不快感を覚える方が多くいます。
実はその股関節の痛み、単なる疲労ではなく、身体のバランスの崩れや負担のかかる立ち方が関係している可能性があります。
立ち仕事では、足元から腰・背中・肩まで常に身体全体に負荷がかかっていますが、とくに骨盤と大腿骨の連結部である股関節は、上半身の重みを受け止め続ける重要な関節です。
そのため、姿勢のクセや筋肉の使い方次第で負担が集中し、痛みを引き起こしやすくなります。
また、動きが少ない状態が続くことで股関節まわりの筋肉や関節包がこわばり、血流も悪化します。
これにより回復力が落ち、疲労が蓄積してしまうのです。
さらに、日々の疲労が蓄積すると、股関節の柔軟性が低下し、可動域が狭くなります。
その結果、歩く・しゃがむ・座るなどの日常動作でも痛みや違和感が出やすくなり、仕事の効率にも影響を及ぼしかねません。
このブログでは、立ち仕事による股関節の痛みを軽減するための姿勢の見直しやセルフケア法をご紹介していきます。
日々の意識と習慣を少し変えるだけで、身体の負担は大きく変わります。
こんな人は要注意!股関節に負担がかかる立ち方のクセ
立ち仕事で股関節に痛みを感じやすい方には、共通した「立ち方のクセ」があることをご存じでしょうか?
長時間立っているだけでも疲れが出るのに、間違った姿勢で立ち続けていると、知らず知らずのうちに股関節や骨盤まわりに余計な負担をかけてしまいます。
注意したい立ち方のクセ
【片足に体重をかけて立つ】
いわゆる「休め」の姿勢。
立っているときに無意識に片足へ体重をかける癖は、骨盤の左右バランスを崩す大きな原因となります。
これにより片方の股関節にばかり負担がかかり、筋肉の張りや関節の炎症につながりやすくなります。
【猫背気味で頭が前に出ている】
頭が前に出ると重心が前方に移動し、股関節と膝で身体を支えようとする力が強くなります。
そのため、股関節前側の筋肉(腸腰筋や大腿直筋)に常に力が入る状態になり、緊張と疲労を招きます。
【反り腰でお尻が突き出ている】
腰が過度に反ってしまう「反り腰」の方は、骨盤が前傾し、股関節前部が圧迫されやすくなります。
これは女性に特に多く見られる姿勢で、腰痛だけでなく股関節痛の原因にもなります。
【靴のすり減りが偏っている】
「いつも靴底の外側だけ減る」「片側のかかとだけすり減る」といった場合は、立っているときの体重のかかり方に偏りがあるサインです。
これは長時間の立ち姿勢でも同様にアンバランスが生じている可能性があり、股関節や膝に負担がかかっていることが考えられます。
まとめ
こうした「立ち方のクセ」は、日々の無意識な習慣として身についていることが多く、自分では気づきにくいものです。
しかし、そのままにしておくと、股関節だけでなく、腰や膝のトラブルにもつながりかねません。
こうした負担を減らすために意識したい「立ち方のコツ」についてご紹介していきます。
疲れにくくする!正しい立ち姿勢のポイント
股関節の痛みで悩む立ち仕事の方にとって、「正しい立ち方」は痛みの予防と疲労軽減のカギになります。
逆に、誤った姿勢で長時間立ち続けると、股関節だけでなく腰や膝にも負担が波及することも…。
ここでは、整体師の視点から「疲れにくく、股関節を守る立ち方」を解説します。
「耳・肩・骨盤・くるぶし」が一直線にそろう立ち方
まずチェックしたいのが、全身の「縦のライン」です。
【壁に背をつけて立ったときに】
- ・耳
- ・肩
- ・骨盤(お尻)
- ・くるぶし
が一直線になる状態が、理想的な立ち姿勢とされています。
この姿勢が取れていると、頭の重さや上半身の体重が股関節・膝・足首にバランスよく分散され、どこか一部分だけに負荷が集中することを防げます。
反対に、頭が前に突き出たり、腰が反りすぎている状態は、股関節の前面やお尻に過剰な緊張を生み、痛みや疲れの原因になります。
股関節が使えている立ち方とは?
疲れにくくするには、股関節の「支える機能」を活かす必要があります。
【本来、立っているときは】
- ・骨盤を立てる(前傾でも後傾でもなく、ニュートラルな位置)
- ・太ももの前だけでなく、お尻や内ももの筋肉も適度に使う
- ・足裏全体に均等に体重をのせる
という状態が理想です。
特に注目したいのが「骨盤の位置」。
骨盤が後ろに倒れていると、上半身が後ろに反りやすく、太もも前部の筋肉が過剰に働くことに。
逆に前に傾きすぎると、股関節の前側が詰まりやすくなります。
また、立ち仕事中に片足に体重をかけてしまう癖(休めの姿勢)も、股関節にかかる負担の左右差を生むので要注意です。
仕事中でもできる!股関節まわりのセルフケア
立ち仕事の合間に取り入れられるセルフケアは、股関節の負担を軽減し、痛みの予防に非常に効果的です。
わざわざ運動の時間を取らなくても、日常のすき間時間を使って身体をリセットすることが可能です。
ここでは、仕事の合間でも無理なくできる「足首~骨盤のほぐし」と「お尻・股関節を支える筋肉を活かすワンポイント体操」をご紹介します。
足首〜骨盤の簡単ほぐし
股関節の柔軟性は、実は足首や膝、骨盤との連動性によって支えられています。
立ち仕事で身体が固まってくると、筋肉が縮こまり、関節の動きが悪くなるため、意識的な「ほぐし」が大切です。
以下のような簡単な動きを、休憩時間などに取り入れてみましょう。
【足首ゆらし】
- ・椅子に座って、片足を軽く浮かせる。
- ・足首をゆっくり10回まわす(内回し・外回し両方)。
- ・反対側も同様に。
【骨盤まわし】
- ・両足を肩幅に開いて立つ。
- ・手を腰に当てて、骨盤を前後・左右・円を描くようにゆっくり回す。
- ・各方向10回ずつ行う。
これらの動きは、筋肉をほぐすだけでなく、関節の潤滑も促進し、血流がアップするため、股関節へのストレスを減らす効果があります。
お尻・股関節を支える筋肉を活かすワンポイント体操
股関節の痛みを予防するには、柔らかくするだけでなく、「支える筋肉」をきちんと働かせることも重要です。
なかでもお尻の筋肉(中殿筋、小殿筋)や、内もも(内転筋)は、股関節を正しい位置で安定させるために欠かせません。
以下の体操は、職場のちょっとしたスペースでも実践可能です。
【サイドレッグリフト(立位)】
- ・まっすぐ立ち、壁やイスに手を添えてしっかりとバランスを取る。
- ・お尻の横に効いている感覚を意識して片足をゆっくり横に持ち上げ、元に戻す(10回)。
- ・反対側も同様に。
【内ももぎゅーっと絞め運動(座位でもOK)】
- ・両膝の間にクッションや丸めたタオルを挟む。
- ・内ももでぎゅっと5秒間締め付ける→ゆるめる(10回)。
このような簡単な動きでも、股関節を守る筋肉にスイッチを入れることができます。
継続して行うことで、筋肉の働きが日常動作の中で自然と活かされるようになり、疲れや痛みが起こりにくい身体に変わっていきます。
帰宅後にリセット!股関節の疲れを取るストレッチ
立ち仕事を終えた後の股関節は、思っている以上に負担を受けています。
筋肉の緊張や関節のこわばりが蓄積されたままだと、翌朝まで疲労が残り、痛みの原因になることも…。
そんなときにおすすめなのが、「リリース」と「ゆるめる」ことに重点を置いたストレッチです。
1日の疲れをその日のうちにリセットできるような簡単ストレッチを3つ&寝る前におすすめの「骨盤ゆるめ」習慣をご紹介します。
短時間でできるリリースストレッチ3選
毎日の立ち仕事や座りっぱなしで硬くなった股関節や太ももを、5〜10分でリセットできるストレッチをご紹介します。
お風呂上がりや寝る前に行うと、翌日の動きがぐっとラクになります。
【① 股関節まわしストレッチ(座ってできる)】
- ・あぐらの姿勢で座る。
- ・片膝を立て、足首を反対の太ももにのせる。
- ・膝を上下にパタパタ動かす(20回)。
※股関節の動きをスムーズにし、詰まりを改善。
【太もも前リリースストレッチ】
- ・うつ伏せになる。
- ・片方の足首を持ち、膝を曲げる。
- ・かかとをお尻に近づけて太ももの前を伸ばす(20〜30秒キープ)。
※縮みやすい太もも前をやさしく伸ばす。
【お尻&もも裏ストレッチ】
- ・仰向けで片膝を立てる。
- ・両手で太もも裏を持ち、膝を胸に近づける(左右20秒ずつ)。
※お尻ともも裏をほぐし、股関節の動きをなめらかに。
これらは5〜10分ほどで行える内容なので、帰宅後や入浴後などに取り入れると効果的です。
寝る前に行いたい骨盤まわりのゆるめ方
1日の終わりに股関節と骨盤周囲を整えておくと、睡眠中の回復力が高まります。
おすすめは以下のようなリラックス系ケアです。
【深呼吸+骨盤ゆらし】
- ・仰向けで膝を立てた状態になる。
- ・両膝をそっとパタンと左に倒す。
- ・次は両膝をそっとパタンと右に倒す。
- ・ゆっくりした呼吸に合わせて、左右10〜20回ほど繰り返す。
※骨盤周辺の筋肉がゆるみ、ゆっくりした呼吸で自律神経にも良い影響を与えます。
【ホットタオルで股関節を温める】
- ・電子レンジなどで温めた蒸しタオルを股関節の付け根に当てる。
- ・5〜10分温めるだけでも、筋肉がゆるみ血行が促進される。
※寝る前に股関節を安心できる状態にしておくと、夜間の身体のこわばりが軽減し、翌朝の疲労感も軽くなります。
立ち仕事の人が気をつけたい身体の使い方
長時間の立ち仕事が続くと、股関節だけでなく膝や腰など他の部位にも痛みや不調が広がることがあります。
その背景にあるのが、「代償動作(だいしょうどうさ)」と呼ばれる、本来の動きが使えなくなり、他の部位が無理にかばう動きです。
整体師の視点から、立ち仕事の方が気をつけたい身体の使い方と、その対策を解説します。
腰痛や膝痛につながる「代償動作」とは?
股関節がうまく使えていない状態では、代わりに腰や膝が必要以上に働かされてしまうため、以下のような悪循環が生まれます。
・股関節の可動域が狭い → 腰を反らせて代償 → 腰痛へ
・股関節が安定しない → 膝がねじれて代償 → 膝の内側の痛みへ
立っている時間が長い人ほど、このような無意識の負担が蓄積し、痛みとなって現れやすくなります。
【チェックポイント】
- ✔ 足を外に開いたまま立っていないか?
- ✔ 腰が反って胸を張りすぎていないか?
- ✔ 左右どちらかに重心をかけるクセがないか?
ひとつでも当てはまる場合は、股関節の使い方が崩れて「代償動作」が出ている可能性があります。
股関節の痛みは「姿勢の崩れ」「使い方の癖」から始まることが多いため、一人では気づけない身体のクセをプロと一緒にチェックすることが、根本改善への第一歩となります。
毎日の立ち方が「未来の股関節」をつくる
立ち仕事による股関節の痛みは、年齢や筋力だけが原因ではありません。
実は、「普段の立ち方」「身体の使い方」といった小さな習慣の積み重ねが、将来的な股関節の状態を大きく左右します。
意識と習慣を少し変えるだけで痛みは防げる
今回ご紹介したように、耳・肩・骨盤・くるぶしを一直線にそろえるような立ち姿勢や、こまめなセルフケアを日常に取り入れるだけで、股関節への負担は大きく軽減できます。
また、疲れを感じたら無理をせず、身体をゆるめるケアの時間を持つことも大切です。
- 「今日は少し重心が片側に寄っていたな」
- 「立ちっぱなしだったから帰宅後はストレッチをしよう」
- 「お尻まわりが張っているから、軽くセルフリリースをしておこう」
このようなちょっとした気づきと行動の習慣化が、痛みの予防につながります。
不調のサインを見逃さず早めの対処を
股関節の違和感や軽い痛みは、放っておくと徐々に慢性化し、膝や腰など他の部位へと波及するリスクも高まります。
「これくらいなら大丈夫」と無視せず、早めにケアや専門家のサポートを受けることが、将来的なトラブルを防ぐポイントです。
整体院などをうまく活用しながら、自分の身体と向き合い、「今の状態を知る」ことから始めましょう。
未来の股関節は今日の立ち方がつくる
長時間立ちっぱなしの仕事でも、正しい体の使い方とセルフケアを習慣にすれば、痛みを予防しながら快適に過ごすことが可能です。
「今はまだ大丈夫」な方も、「最近疲れが溜まりやすい」と感じている方も、ぜひ今日から立ち方とケアの習慣を見直してみてください。

この記事を書いた人
山田 和也
1974年5月30日生まれ。北九州市小倉南区出身。
【保有資格】
柔道整復師(国家資格)
【経歴】
山口県下関市の整骨院で院長として4年勤務後、地元である北九州市小倉南区で整体院を開業する。臨床経験15年・延べ33450人の施術を行う。(令和6年4月現在)